チームワーキング - 感想

概要と紹介


今回『チームワーキング - ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方』を読んでみたので、自分の頭の整理のためまとめたり感想を書いていこうと思います

“すべてのひとびとに、チームを動かすスキルを! ニッポンの「チーム」を、アップデートせよ! "


というキャッチコピーに書かれている通り、チームリーダー向けではなくチームメンバー全員が読者対象となっている本で、エンジニアなど業種は関係なくどんな人でも読める内容です

序章:ニッポンの「チーム」をアップデートせよ!

「チーム」=「目標を共有しつつ、相互作用をしながら、物事を達成する社会集団」と定義

チームワーキングとは

  • チームメンバー全員参加で
  • チーム全体の動きを俯瞰的に見つめ
  • 相互の行動に配慮し合いながら

目標に向けてダイナミックに変化し続けながら、成果創出をめざすチームの状態

チームの病

  • 「目標って何だっけ?」病
    • 時間をかけて設定した目標が、活動開始後忙しくなり、誰一人チームの目標に立ち返ろうとしなくなる
    • 期末などにする振り返りで「目標って何だっけ?」と声が上がる
  • 役割分担したはずのタスクがまったくつながらない病
    • 役割分担したタスクを対応後につなげてみようとすると、抜け漏れなどがあり1つの成果物にまとまらない
  • フィードバックより仲良し病
    • メンバーの考えや行動が、目標や計画からズレていると感じても、人間関係のギクシャクを恐れ、率直にフィードバックできない
  • 振り返れば、誰もいない病
    • チームのために善かれと、先回りして行動などした結果、誰もついてきてなかった
  • 最後はいつもリーダー巻取り病
    • メンバーが脱落してき、リーダーが巻き取らなくてはならない状況に陥ること


成果の出ないチーム

  • 1人のリーダーがチーム全体のことを考え
  • リーダーが中心となってチームの目標と各自の役割を設定し
  • その他メンバーは互いの役割や仕事の状況に関心を示さず、役割の黙々とこなす


第1章:なぜ、日本の職場がうまく回らなくなってきたのか

現代社会は、VUCA の時代と言われる

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)


VUCA 病

  • 「うちの会社って何の会社だったっけ?」症候群
    • 経営環境の変化に対応するために企業と手を組んだり、事業の撤退、事業の再編が進む
    • 従業員が「自社はどこを目指ししているのだろう?」と見失ってしまう
    • 会社は「何屋」であるかを日々、市場の変化に伴いアップデートし続ける使命を帯びている
    • 自社の目標を見失い、職場の目標をも見失われがちになる
    • そのために「1on1」が導入された
    • 短いスパンで目標を思い出す機会を作らないと、目標を見失ってしまう
  • 「あの人、何の仕事をしているんだっけ?」症候群
    • 人材の流動性、多様化、個業化、リモートワークなどで、隣の人が何をやっているかわからなくなる
    • 職場外のコミュニケーションが減ったのは1つの事実としてある
    • 毎日同じ職場で肩を並べ、仕事帰りに酒を飲んだりを繰り返し何年もゆっくりとチームを作ることは今はほぼ残ってない
  • ひーこらひーこら働いているのに気が枯れている症候群
    • 自分のキャリアや仕事において目指す目標を見失い、モチベ、やる気が失われる現象


外部環境の変化が

  • 事業環境の変化スピード増大
  • 仕事内容の高速化
  • 働く人の多様化
  • 働き方の多様化

「チーム」の機能不全をもたらす

  • チーム目標の喪失
  • チームメンバー間の相互理解の欠如
  • チームで行う仕事へのやる気減退


組織の内部へ向かう力(求心力)よりも、外へ向かう力(遠心力)の方が大きくなる

求心力を高める方法の1つに「組織開発」がある

  • 組織が抱える課題を調査などによって「見える化」し
  • そのデータを組織メンバーで共有し「対話」を行い
  • 自分たちの組織のあり方を自分たちで決めていくこと


組織開発は会社全体・部署・部門など様々なサイズで考えられるが、最終的には半径3メートルの小さな集団のチームに行き着く
チームワークは本来「リーダー」だけの問題ではなく、「チーム全体の問題」であり、「メンバー一人一人の問題」である
チームワークは昔のように長い間職場にいればいつの間にか生まれるものではなくなり、スピーディーに進むためにチームワークはすべての人々が学ぶべき必修科目になってきた
チームは誰もが何かしらの実体験を持った身近なテーマのため、自分の理想のチームについて一家言はみんなあるので、データに裏付けされた議論をしていく必要がある

第2章:チームワーキングとは何か?

チームの発展は「一方向にステップを踏んで起こるもの」ではなく、「生き物」のように日々変化している
成果の出ないチームでは、チームメンバーは「チーム」=「1人のリーダーが率いるもの」であり、チームを「一度定めた目標に向かってまっすぐ進んでいくもの」と見立てていた
成果の出るチームでは、チームメンバーは「チーム」=「全員でリードするもの」であり、チームを「常に想定外の変化をする、動的でダイナミックなもの」と見立てていた

チームワーキングに必要なチームを見つめる3つの視点

  • チーム視点
    • チームの全体像を常に捉える視点
  • 全員リーダー視点
    • 自らもリーダーたるべく当事者意識を持ってチームの活動に貢献する視点
  • 動的視点
    • チームを動きづづけるもの、変わり続けるものとして捉える視点


たかが「視点」されど「視点」
チームメンバーがまずはこの3つの視点を理解し、共有することが非常に重要

チーム視点

チーム視点とは、チームがダイナミックに変化し続けていく状態を常に俯瞰して見る視点のことで、チームメンバー個々人が「チームの全体像」を常に捉える視点を持つこと
チームを前に動かすためには、チーム視点を持って全体像を把握し、チームに適切に働きかけを行う必要があるから
類する話でサーカーなどの集団スポーツにおける「スキャニング」が近い

人間はどんなに意識をしていても「自分の視点」だけに耽溺してしまいがちな存在
自分の視点で物事を考えてしまう思考を「自己中心性バイアス」といい、チーム作業が部分最適となっていく

チームの全体像は

  • チームの中の私は、今、何をしているのか?
  • チームの中のあなた(たち)は、今、何をしているのか?
  • 私達は今、何を目指して何をしているのか?

という情報から、解像度を上げて把握する必要がある

全員リーダー視点

全員リーダー視点とは、機会があれば全員がリーダーになりうるという前提で、自ら当事者意識を持ってチーム活動に貢献する視点
シェアド・リーダーシップという考えに由来している

動的視点

動的視点とは、チームを動き続けるもの、変わり続けるものとして捉える視点(最重要)
チームメンバー・事業内容・市場環境に大きな変化がない時代にはなかった考え方

チームワーキングを生み出す3つの行動原理

  • Goal Holding
    • 目標を握り続ける
  • Task Working
    • 動きながら課題を探し続ける
  • Feedbacking
    • 相互にフィードバックし続ける


行動は全て常に取り続けることが重要

Goal Holding

チームとして目標を設定したほうがパフォーマンス向上に有効という論文がある
しかし、設定後に見直したり確認せず進むと、外的環境の変化などによる揺れが発生し、バラバラになってしまう
重要なのは常に全員で確認しながら目標を握り続けること

Task Working

多くの書籍には「課題解決で最も重要なことは、課題解決に向かうことである」と記されている
しかし、「課題を吟味することが目的となってしまい先に進めない」「解くべき課題を設定後アクションするだけではズレてしまう」という罠がある

動きながら解くべき課題を探求し続けることが大切になってくる
最初は仮決めで良いので、大まかな課題の方向性を定め、探求を行い、振り返り修正をしていくプロセス
仮説検証を繰り返し課題の精度を上げていく

Feedbacking

チーム全員で相互フィードバックし続ける
チームの状態・行動・成果について耳の痛いことも含めて、自分が何を感じているのかを、相互に伝え合うこと
間違った知識、ズレた認識がいくらメンバー間で共有されていたとしても、成果にはつながらない

第3章:ケースとデータで学ぶ Goal Holding

ケース

営業部・開発部・経理部・企画部から1名ずつでチームを作り、創業10周年イベントを開くことになった
社長からは「会社をここまで成長させてくれた人たちと共に10周年を祝い、次の10年の更なる躍進に向け、スタートを切る場にしたい」とメッセージをもらっている
1ヶ月後チームでまとめた企画書を社長に提出することになった

経理部は「500万かけていいと言われたので、社員のみんなが大いに楽しめるサプライズ感のある盛大な会にしよう」
営業部は「お客様を呼び感謝を伝える」
開発部は「社長は日頃から『次の10年が勝負だと』言っているので、今後10年のビジョンを伝えてもらう」
と発信し、企画部は各々の得意領域を担当するのが良いと感じまとめ役に徹し「3人がそれぞれ企画を詰めて、自分が最後に全てまとめて資料を作る」と発信した

最終的に経理部はロックバンドを呼び、営業部は100名ほど顧客を呼び、開発部は経営戦略をまとめた資料を作成した
社長からは「何のためにやる企画かわからない。100名の顧客に挨拶する必要がある。顧客の多くは年配の社長だが、ロックバンドがお熟れ、さらに経営戦略を語るが顧客がいていいのか?」とフィードバックを受けてしまった

3つのつまずきポイント

  • 具体的な目標を設定・共有しないまま、チームでの活動を進めてしまった
    • 経営陣の持つ曖昧なビジョンを具体的な目標に落とし込む必要がある
  • 話し合いを始める段階で「各部署として意見を聞かせてください」と、それぞれの立場を踏まえた問いかけをしてしまった
    • 自分たちの役割範囲でしか見られなくなってしまい、チーム視点が失われてしまった
    • チームの目標が個々の目標の寄せ集めにならないようにする
  • まとめ役が「3人のいけんをまとめれば素晴らしくなる」と安易にまとめてしまった
    • まとめ役という全体を見渡す視点を持った人が、全員で同じ目標を握る問いかけをすべきだった


Goal Holding 3つのポイント

  • 「全員がコミットする」目標を設定する
  • 状況に応じて、目標に立ち返る行動を継続している
  • (必要に応じて)目標の見直し、再設定をしている


「全員がコミットする」目標を設定する

目標設定の方法の1つとして「SMARTの法則」がある

  • Specific:具体的
  • Measurable:測定可能
  • Achievable:達成可能
  • Related:経営目標に関連している
  • Time-related:期限がある

数値目標の先にある「実現したい状態」が共有されていれば、SMARTの法則は有効である
しかし、今回のケースで「顧客を100名集める」「顧客満足度を4にあげる」にすると、イベント目的とずれる可能性がある

その場合は「定性的な目標設定」を行うのが有効で、方法としては「見てみたい未来の光景を描くこと」
今回のケースでは「イベント後顧客から『御社の今後の成長にますます期待している』といったコメントをもらう」などが良い

定性的な目標設定の方法の1つとして「IMPACTモデル」がある

  • Inspiring:ワクワクするか?
  • Memorable:覚えられるか?
  • Praiseworthy:感謝されるものか?
  • Achievement:成果物が想像できるか?
  • Contribution:貢献につながるものか?
  • Timely:今の目標として適切か?


目標設定後、チームメンバー全員が最後までコミットし続けなければ、目標達成にはつながらない
「グループ内でオープンな情報共有ができるかどうか」が「全員コミット」につながる

モチベーションの低下は環境によって後天的に生み出されるものであり、業務の属人化がモチベーションの低下につながる
業務の属人化とはタスク遂行の範囲が自分の担当している業務で完結し、それ以外の業務のことを理解しようとしないチームの状況

状況に応じて、目標に立ち返る

目標に立ち返るということは自分たちに現在地を確認することにつながる
そのために、チーム視点(チームの状態を常に俯瞰し、チームの全体像を常に捉える)が必要
「エースメンバーへの依存」が過剰だとチーム視点を妨げるので要注意

(必要に応じて)目標の見直し・再設定をする

「オープンな情報共有」「オープンな人間関係」が目標の確認・再設定に影響する
いちどきめ目標の再設定はかなりパワーが要るため、「オープンな人間関係」が求められる

目標に立ち返る機会をチームの日常的な活動に埋め込むのが鍵となる

ケースの振り返り

最初の会議で具体的な目標を設定する

「会社をここまで成長させてくれた人たちと共に10周年を祝い、次の10年の更なる躍進に向け、スタートを切る場にしたい」という曖昧な目的を具体的に落とし込む
たとえば「成長させてくれた人」は具体的に?何割が参加すれば成功?どう感じてもらえれば成功?など
定量目的にこだわりすぎず、定性的な目標も視野に入れて進める

チームで設定した目標を意思決定者とすり合わせる

今回のケースであれば社長と認識齟齬がないかすり合わせる

定期的に目標を振り返る機会を作る

目標に対する進捗を全員で確認する機会を作る

もしズレを感じた場合は再設定する

ロックバンドを招く、100名呼ぶ、ビジョンを示す、の全てが成立できないと気づいた場合、見直す

第4章:ケースとデータで学ぶ Task Working

ケース

営業部2人と開発部と人事部のチームで「人材不足」問題を解決する戦略を3ヶ月後に発表する

開発部は「AI技術を持った人が採用できない」
営業部Aは「人手不足だけどニュースで聴いたAIを使った営業支援ツール導入による人材不足を補う方法もある」
人事部は「人を単に増やささない方が良い、AIを使った採用支援システムや人事支援システムがよい」
営業部Bは「人が足りないよりスキルの足りない人が多い気がする、AIはよくわからないが、人事業務が効率化することで、結果的に人材不足が解決されるのでは?」

話を聞いた開発部は「AIによる人材不足の解消がテーマになりそう」
営業部Bは「人材不足がメイントピックの人事部の意見がよく、任せるのが良さそう」
人事部は「調べていたので任せて欲しい、たたきを作るので他の意見を入れてブラッシュアップさせる」
と会議で決まった

人事部は元エンジニアで業務のデジタル化を図りたいと思っており、一目置かれたいとも思っていた
開発部は自社のAI技術への対応が遅いことに不満を感じており、AIに関わりたいと思っていた
営業部Bは営業の仕事に直接関係ないこの発表するイベントに乗り気ではなく、やる気ある人のサポートに徹して乗り切りたいと考えている
営業部AはAIをよくわかっておらず調べて見ようと思っていたが日々の仕事が忙しく時間が取れていない

人事部の企画書にはすぐに「いいね」ボタンが付いたものの、反応はない
一度集まって話し合いをしたところ、人事部以外は企画書に目を通しておらず、その場で意見しようと放置していた
資料集めやグラフ作成など役割分担をし進めた

分担した作業をしていくうちに人事マネジメントシステムが人材不足解決をしたりする事例はないことに気づくが、
気合を入れている進めている人事部に誰もそれを言うことができなかった

結果人事業務が効率化できることは伝わったが、人材不足の解決に結びつきがない発表になってしまった

3つのつまずきポイント

  • 人材不足問題に対して何が課題か検討せず、AIへの対応という具体的な解決策の検討に入ってしまった
  • 課題そのものが解くべき課題であったのか検証するプロセスがなかった
  • 人事部が課題の共有が進まないうちに議論を引きっとてしまった
    • 人事部が叩きを作ることで、他のメンバーの主体性がなくなった


解くべき課題を設定する3つのステップ

  1. 問題が何かを正しく定義し
    1. 今回のケースでは「今どの部署でどんな人が何人足りないのか」といった具体的な言葉に置き換えることを意味する
    2. 理想的な状態や到達したい未来を共有しギャップを考える
  2. その問題を構成している課題を洗い出し
    1. 具体的なデータを元に差分を比較し課題を洗い出す
  3. 課題の中から解く必要のある課題を特定する
    1. 優先順位を付け、並び替える


Task Working 2つのポイント

  • 全員アクション
  • チームリフレクション


全員アクション

チーム全員がチーム視点で最後まで分担した役割を遂行し続けている
今回のケースでは企画のたたき台作りを人事部が巻取り、他はたたき台への意見だしという役割を与えられているが、誰もできていない

チームリフレクション

タスクや内容が課題解決のために適切であったか、チーム視点で振り返り続けている

ムービング・ターゲット

ムービング・ターゲットとは解くべき課題は状況によって常に変化し続けているという意味
解くべき課題が最初から分かっていることは少なく、アクションしている中で精度を高める必要がある

うまく行かない行動ケース

  • 課題を探すことが目的となりアクションをしないケース
  • アクションをしたが振り返りをせず、最初に決めた課題に進み続けるケース
  • 振り返りの結果を踏まえた新たな課題を設定しないケース


社会的手抜き

集団で共同作業をするときに個人作業をするよりも仕事をサボりがちになり生産性が低下する現象
主な要因

  • 評価可能性
    • チームに対する一人一人の貢献が適切に評価されない
  • 努力の不要性
    • 自分が努力をしてもチームの成果に影響を与えない
  • 手抜きの同調
    • 他メンバーも手抜きをしているので自分が手抜きをしても問題ない
  • 緊張感の低下
    • チームに居ると当事者意識が薄れ緩む

エースメンバーに頼り、他メンバーも手抜きをしていて、真剣にやらなくても、評価が悪くなることがないという状況が生まれる

社会的手抜きに繋がる行動

  • やる気のないメンバーの存在
    • 全員アクションしつつ、チームリフレクションで互いのアクションを評価する機会を作る
  • 不完全な状態でのアウトプット共有に対する抵抗
    • グラウンドルールを作り、共有し、FBしやすい状況を作る
  • 仲良し関係の重視
    • FBを相手の人格や価値観ではなく、相手の行動に対して行う状況を作る


ケースの振り返り

人材不足という問題を再定義する

会社の理想の状況の人数や人材を調査する

データを集め調査し、課題を仮決めする

現在の人数や人材を調査する

  • 問題の解決に直結する課題か?
  • 関係者が解きたいと思える課題か?
  • 解くことができる課題か?

という観点で検討する

全員アクションする

やる気ある人に他がフリーライドせず、全員が平等にアクションを取る

チームリフレクションする

定期的にチームの現状をFBする機会を作る

第5章:ケースとデータで学ぶ Feedbacking

ケース

外食チェーンのキャンペーンをマーケチーム(35歳のリーダー、20代、30代のワーキングマザー、40代のベテラン)で行う
40代が食べ放題のサブスク導入を強く推し進めてきた

ワーキングマザーは「毎日来る常連が使うと売上が減ってしまう。現場の店長に相談すべき」と考えており、会議で40代に「店長に相談したか?」と発言
が、40代は「これから聞く。ただ批評家みたいに言いたいことだけ言わないで欲しい。こっちはシミュレーションもしている」と激怒
ワーキングマザーは時短をしていて残業もできないことに引け目を感じていたこともあり、これ以上何も言えなくなった

20代は40代にお世話になっていたため「若い人はサブスクを貸し借りするのでは?」という懸念があったが言えなかった

リーダーは業務が忙しく、やる気になっている40代に全権を任せ、思い切り仕事をしてもらう環境を整えるのを重視していた

40代はマーケのプロとして中途で入ったが出世が出遅れており、年下にリーダーを取られているため、今回のPJに賭けていた
そのため調査から企画提案まで一人でやっており、他のメンバーも何も言わず従うようになってきたので順調と感じていた

役員会では「現場の店長と話し合ったか?リスクは洗い出したか?」と聞かれたが、40代は以前揉めたこともあり話し合ってなかった
しかし振り出しに戻るのを危惧し「リスクはしっかり勘案しています」とだけ答え、承認を得た

しかし店長がマーケTに来て「常連のサブスクは?貸し借りは?そもそも相談が来ていないが?」と怒鳴り込んできた
20代とワーキングマザーは「もともと厳しいと思っていた」と発言し
40代は「なぜ早く言わなかった?」と発言し、リーダーは黙ってみているだけだった

3つのつまずきポイント

  • メンバーがプランに対して懸念点をフィードバックしなかった
    • 一度激高されて言えなかった
    • お世話になっていたため言えなかった
    • すべてを任せたため言わなかった(言えなかった)
  • FBできないまま「後戻りできない地点(Point of No Return)」に到達した
    • 修正する時間があれば言いやすいが、役員会まで間に合わないと感じた場合言いづらくなる
    • 時短で修正する時間がなく言えない
    • 経験・スキル不足で時間内に修正プランを考えられず言えない
  • メンバーの人間関係
    • 時短で残業ができず引け目を感じている
    • 新人のときからお世話人っているので言いづらい
    • ベテランの年上部下で、丸投げしているため言いづらい


フィードバック

フィードバックとは「耳の痛いことも含めて、互いに考えていることを相手に伝える」こと
解くべき課題や解決策などの「課題に関するもの」とチームの状態やメンバーの行動など「人の問題に関するもの」の2つある
多くのチームが最初はフィードバックをするが、徐々にしなくなってしまう

Feedbacking を阻む5つの壁

  • フィードバックできない
    • 個業化して自分以外の仕事が分からないためできない
    • 活動の中にフィードバックをする機会が設けられていない
  • フィードバックしにくい
    • 関係が悪化しそうな雰囲気があり言いにくい
  • フィードバックしても意味がない
    • 否定されたり無視され、聞いて貰えそうにない
  • フィードバックしても間に合わない
    • 時間・コスト的に Point of No Return に到達してしまっている
  • フィードバックするのがめんどくさい
    • 議論する時間がコストになり、時間や労力をかけるなら放置してしまう


「仲良し信奉」デスマーチのメカニズム

  • 仲良くすることが目的化する
    • 意見の対立や相違を見て見ぬ振りをして、ちーむの仲の良さを優先してしまう
  • 摩擦を恐れて個業化する
    • 摩擦を恐れ、自分のタスクと相手のタスクという明確な線引をしてしまう
  • 他のメンバーの業務が見えなくなる
    • 互いの業務がわからないとフィードバックができなくなる
  • ちーむ視点がなくなる
    • 誰もちーむ全体の状況を把握できなくなる


「仲良し信奉」デスマーチを打破するチームフィードバック

  • チームの目的を共有し続ける
    • チームの目的をしっかりと押さえておく
  • グラウンドルールを設定する
    • 矛盾や葛藤があることを前提として、対処方法をまとめたグラウンドルールを話し合っておく
    • グラウンドルールを形骸化させない工夫として、最初に確認したりするのも有効
  • 1対1で話す機会を作る


ケースの振り返り

  • チーム全体の視点を持ち、PJの状況をモニタリングし、以上を察知したら修正する体制を作る
  • フィードバックするグラウンドルールを作る
  • 1on1 で本音を引き出す


第6章:すべてのひとびとに、チームを動かすスキルを!

成果の出るチーム

  • チームメンバー全員が動き
  • チームの状況を俯瞰する視点を持ち
  • 目標に向かってフィードバックしながら進む


成果の出ないチーム

  • 一人のリーダーだけがチーム全体のことを考え
  • リーダーが中心となってチームの目標と各自の役割を設定し
  • メンバーは自分のタスクだけを黙々とこなす


チームワーキングに必要な視点

  • チーム視点
    • チームの全体像を常に捉える視点
  • 全員リーダー視点
    • 自らもリーダーたるべく当事者意識を持ってチームの活動に貢献する視点
  • 動的視点
    • チームを動き続けるものとして捉える視点


チームワーキングを生む行動原理

  • Goal Holding
  • Task Working
  • Feedbacking


感想

このまとめでは書いていないですが、本の中ではかなり多くの立教大学の学生のチーム行動データが出てきます
ケースによるストーリーを軸にデータとセットに解説が構成されているので、全体的に割とスラスラ読めました

行動原理系は ~ing と現在進行系で書かれており、チームとして動き続ける考えはアジャイル・スクラムなどの反復で動く考えと似ているなと思う
ウォータフォールのような大きな道を真っ直ぐ進むのではなく、細かく軌道修正する動きは通じており、エンジニア業界以外も同じような考えになってきているのかもしれない

新しい気付き的なところだと、チームはリーダーだけが考えるのでなくチームメンバー全員で考えるという点
リーンとかでも似たいような話があった気もするが、全員がチームに関しての知識を学び、チームを運営していくのがこれから大切であると

エンジニアの組織論(著者がエンジニア関連)しか読んだことなかったので、かなり面白かったです